脳卒中の予防と再発予防

脳卒中の予防と再発予防

 脳卒中とは、脳の血管障害が原因で突然の意識障害、運動麻痺、言語障害などをきたす脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血の総称です。
 脳卒中では、死亡する場合や、運動麻痺・言語障害などの後遺症を残し、日常生活に支障をきたす場合があり、その予防には、血圧、血糖、脂質、不整脈、喫煙、飲酒のコントロールが重要です。

◆高血圧◆
 高血圧は脳出血と脳梗塞に共通の最大の危険因子であり、血圧が高いほど脳卒中の発症率が高くなることが報告されています。降圧目標として、高齢者は140/90mmHg未満、若年・中年者は130/85mmHg未満、糖尿病や腎障害を合併している方は130/80mmHg未満が推奨されています。血圧を下げるためには、減塩、肥満の場合の減量、野菜・果物・魚の積極的摂取、脂肪摂取を控えること、運動、節酒、禁煙、降圧薬の内服が有効です。
◆糖尿病◆
 糖尿病は脳卒中の危険因子であり、カロリーを適正にし、必要な場合は糖尿病薬を使用して、血糖を適正にコントロールすることが重要です。また、糖尿病の患者様においては、血圧は低めにしたほうが良いとされています。
◆脂質異常症◆
 脂質異常症は脳梗塞の危険因子であり、カロリーの適正化、動物性脂肪摂取を少なくすることが勧められています。脂質異常症用薬の投与により脳卒中発症予防効果が認められています。
◆心房細動◆
 心房細動という不整脈は脳梗塞の危険因子であり、心房細動のある方の脳梗塞発症率は、ない方の2~7倍高いと報告されています。脳卒中または一過性脳虚血発作の既往があるか、うっ血性心不全、高血圧、75歳以上、糖尿病のいずれかを二つ以上合併した心房細動の方には、血液が固まりにくくなる薬による抗凝固療法が強く推奨されています。
◆喫煙◆
 喫煙は脳梗塞とクモ膜下出血の危険因子であり、脳卒中のリスクは喫煙本数が多いほど大きくなり、禁煙により小さくなることが示されています。最近では、薬による禁煙も可能となっています。
◆飲酒◆
 飲酒量が増えるほど、脳出血・クモ膜下出血の発症率が増えます。一方、脳梗塞では、非飲酒者に比べ、少量・中等量の飲酒者では発症率が低く、大量飲酒者では高いことが示されています。いずれにしても、大量の飲酒で脳卒中の発症率が高く、脳卒中の予防のためには大量の飲酒を避けるべきです。
◆脳卒中の再発予防◆
 脳梗塞の再発予防においては、高血圧の降圧療法、血糖のコントロール、脂質異常症のコントロール、心房細動の方への抗凝固療法が推奨されています。脳出血の再発予防においても、高血圧の降圧療法が勧められています。

院長 島田 薫