脳卒中後遺症の言語障害(構音障害と失語)について
2012年03月13日
脳卒中後遺症の言語障害(構音障害と失語)
◆脳卒中の後遺症◆
脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の総称である脳卒中では、運動麻痺や言語障害などの後遺症を残す場合が多く、その言語障害には構音障害と失語があります。
◆構音障害◆
言葉が出るがはっきりしない(ろれつが回らない、舌がもつれる)場合は構音障害の可能性が考えられます。構音障害とは発音を正しくできない状態で、構音に関与する口唇、舌、咽頭、喉頭などを支配する神経系が障害されることにより起こります。障害される部位により、鼻に抜けるような発音になったり、パ行やバ行が障害されたり、タ行やラ行が正しく発音できなくなったり、声量が小さく抑場に乏しくなったりします。典型的な構音障害のみの場合では、内的言語が障害されないため、字を書くことは可能とされています。
◆失語◆
言葉が出にくい、言い間違えが多い、質問に対して無関係な返答をする、何も話さないなどの場合は、失語の可能性が考えられます。失語症とは、大脳の言語領域の障害のために言葉を正しく話すこと、理解することが障害された状態で、言葉を符号として操作する機能が障害されるものです。失語症には、理解面は比較的良いが話し方がたどたどしく発話量が少ないタイプ、理解面が著しく障害されて、なめらかな発話の割には言い間違いや意味不明な言葉が見られるタイプ、言語の自発性が低下するが復唱は良好なタイプ、「聞く・話す・読む・書く」のすべてが重度に障害されるタイプなどがあります。
脳の特定部位の損傷が、失語症の発生、状態に関係することから、失語症を起こす部位を言語機能の中枢である言語野とみなすことができ、統計的に九割以上の方の言語野は左大脳半球にあるとされています。
◆言語障害のリハビリ◆
言語障害に対するリハビリテーションは、言語聴覚士(ST)によって行われています。さまざま評価・検査を通じて、どの種類の言語障害なのかを見極め、言葉の明瞭度を向上する訓練、言葉を思い出す訓練など、障害に応じた言語療法を行います。また、ご本人への訓練だけでなく、はい・いいえで答えられるような質問の仕方を御家族にお願いしたり、歯科と連携して入れ歯の調整を図る場合もあります。
脳卒中発症後には、急性期から回復期、維持期(在宅)へと、情報を共有しながら切れ目無く、医療・リハビリテーション・介護サービスが提供されることが重要です。
院長 島田 薫